一艘の漁船

 更新日:2012年02月19日(日)

メディア班原賀です。
 
先日、戸倉地区の漁港を訪れた時、
寒風の中、黙々と船のメンテナンスをしている男性に出会いました。
歴27年のベテラン漁師、佐藤さんです。
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船名は『恵比寿丸』―おじいさんの代からその名は受け継がれています。
 
311の津波で恵比寿丸は破壊され、海から3km離れた畑まで流されました。
  
震災翌日に船の所在を知った佐藤さん。
その時は、『悲しみ』も『感動』も、何も感じることが出来ませんでした。
「家族と仲間の安否、その日を生きること、それだけだった。
船や仕事を考えるゆとりは無かった。」
 
恵比寿丸は、畑の真ん中で5月まで置き去られます。
 
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日が経ち、佐藤さんは再び『漁師』になる決意をします。
自身と家族と町の未来を考え、漁師の道しか思い浮かばなかったそうです。
 
恵比寿丸の復活を誓った佐藤さん。
畑の真ん中から重機で引っ張り出し、8ヵ月間かけて修理をしました。
 
佐藤さんと出会ったまさにこの日が、
修理を終えた『新生恵比寿丸』初進水の日だったのです。
「やっぱり自分の船を動かすとワクワクするね。」
口調から、佐藤さんの興奮が伝わってきました。
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修理の間、佐藤さんは漁師仲間の仕事を手伝わせてもらっていたそうです。
恵比寿丸復活の目処が立った時には、
「これで仲間に迷惑をかけないで仕事ができる」と、
『喜び』よりも『安堵感』が勝っていたと言っていました。
 
きっと、仲間の漁師は、少しも迷惑だとは思っていなかったでしょう。
皆で団結して、
『自分たちの海を、生業を、復活させる!』と踏ん張っていたのだと思います。
 
 
311に破壊された物、事、人。
けして戻れない過去、癒せない傷があることを、日々、思い知らされます。
その一方で、未来に向かう力強い歩みを、日々、目の当たりにします。
この日、佐藤さんと仲間の力で、恵比寿丸は復活しました。
今、町の至る所で繰り広げられる様々な『復活劇』。
その礎に、南三陸町の持つ強い『地域の絆』の存在を、ひしひしと感じるのです。
 
 
佐藤さんの育てた銀鮭は、4月出荷予定。
「南三陸町の銀鮭は本当においしい。ぜひ食べてください。」
――楽しみに待ちます。
 
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