茅葺屋根ときゅうりとコインランドリー

 更新日:2011年11月04日(金)

こんにちは。メディア班のコスです。
 
皆さん、志津川の国道沿いに隠れるように佇む茅葺屋根の家をご存知でしょうか。
実はこの家屋、元禄15年(1702年)ごろに造られたとされる古民家なのです。
 
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13代目当主であり養蚕業を営む遠藤重幸さんは、数年ごとに屋根をふき替え、
先祖から受け継いだこの家を大切にしてきました。
 
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しかし、震災はこの家屋にも爪痕を残していきました。
この家はおよそ20メートルも流され、大きく傾いてしまったのです。
 
しかし、お気づきでしょうか。
写真右にある太くて頑丈な栗の柱が支えとなり、この家は倒壊していないのです。
 
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津波被害を受けながらも生き延びた、この歴史と伝統を誇る茅葺屋根の家を
公費で解体、撤去するのではなく、歴史的建造物として保存されることに
こだわった遠藤さん。
その思いが高松市の四国村関係者まで届き、今後、移築および復元されることが
決定しました。
  
家のまわりに生い茂っていた杉の木も津波による塩分で枯れ、切り倒す必要が
あるそうですが、「300年以上もここでこの家を守ってきたご先祖様に申し訳ない」と
遠藤さんは、この杉の木を利用して同地に家を建て直す予定だそうです。
  
家屋についてお話を伺っている途中、私はお庭に立派なきゅうりがあることに
気づきました。
尋ねてみると、遠藤さんは奥様と養蚕業とは別に農業もされていたのだそうです。
 
毎年ほうれん草やきゅうりを栽培し出荷していたそうですが、例年の半分以下の
ほうれん草を出荷したところで被災。
きゅうりの種も震災で流されてしまい、困っていたある日、
真空パックの中に残っていた種が、偶然下駄箱の中から見つかったそうです。
  
みんなのお世話にはなり続けていてはいけない。
自分のことは自分でやらなくてはいけないーー。
  
その一心で、遠藤さんは全壊した家を自力で立て直し、自ら井戸から水を引き、
がれきばかりだった畑を片付け、5月上旬には生き残った種を蒔くまでに
至ったそうです。
  
接ぎ木をしてどんどんきゅうりを増やしていった遠藤さんですが、津波による被害は
時間がたってからも出てきました。
土壌が塩分を含み、きゅうりはすぐにしおれて生育しなかったのです。
それでも遠藤さんはきゅうりの研究を続け、塩分を流すために根気強く
水をかけ続けました。
 
その結果・・・
今では青々とした立派なきゅうりがビニールハウスいっぱいになっています!
  
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もぎたてのきゅうりを味見させていただきましたが、太陽の光をたっぷり浴びた
きゅうりはびっくりするほど甘くておいしい!
さらに肌や内臓、骨や血液にいいとされるアミノ酸がたくさん入っているそうです。
 
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今後は来たる冬の寒さを活かし、寒さにさらす「寒じめ栽培」により、
ちぢみほうれん草も栽培して出荷していく予定だそうです。
(※葉に縮んだようなしわが入るためこう呼ばれる)
 
 
遠藤さんはさらに、元志津川駅周辺でコインランドリーと洗車場を開設。
洗濯機•乾燥機ともにすべて新品のものをそろえ、清潔感あふれる場を提供しています。
 
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今日、遠藤さんのお話を伺っていて、私がひしひしと強く感じたこと。
それは遠藤さんの高い自立心と行動力でした。
 
誰にでもまねできることではありませんが、ボランティアとして働く自分にも
見習うべき点があるように思えました。
 
自分にできること、その目的と手段を明確にして行動に移して行く。
それを念頭にこれからも活動を続けていこうと身が引き締まる思いになった一日でした。