仮設魚市場オープン

 更新日:2011年10月28日(金)

漁業支援チームでリーダーを勤めている哲平です。
今日はこのブログを通して皆さんに「被災地からの笑顔あふれるめでたいお話」をお伝えしたいと思います。
3月11日を境にして生活環境が全く変わってしまったこの南三陸町、復興を掲げて被災地の方々を中心にボランティアがそれを支えるという体制で一歩一歩、元通り以上の町を作り上げて行こうと町民が一丸となっている訳なのですが、そんな南三陸町にとって10月24日は本当にめでたい日となることができました。
水産業が産業の主軸であったこの町に待望の仮設魚市場がオープンしたのです。
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震災後、7月3日までは漁業活動を停止していた漁協と漁師さんたちは7月4日以降、津波に流されてしまった魚市場を営業ができる範囲まで清掃し10月23日まで残っている施設で営業して参りました。しかしながら、崩壊した市場に残っているものはだだっ広いスペースのみ、電気もなければ水道もない、事務所もないそんな環境下で地元の漁師さんを始め漁協の方々はできることを約4ヶ月間活動し、水産業で町の復興をして来たのです。
地盤沈下してしまった船着き場はフォークリフトの作業効率を下げ、今まで以上に作業時間がかかってしまったり、活魚(生きた魚)スペースは手作りの自作スペース。本当に大変な環境で今まで働いて来ました。
漁師さん達が使う網には無惨にもかかってくる津波で流されてしまった家屋の数々・・・毎回そんな残骸の水上げをする度に重い気持ちになってしまう自分とは裏腹に、笑顔で「今日はこんなゴミがかかって来たぞ~」と話す漁師さんと漁港関係者の人達の強さには本当に感心し、人の強さを学ぶことができた場でもありました。
そんな環境下で働いていた漁業関係者の方々にとって、10月24日は仮設ではありますが新設の魚市場のオープンと言う記念すべき日を迎える事ができたのです。私が南三陸町の魚市場にボランティアとして入って約2週間、この日を楽しみにして来た漁協で、競り担当をしている高橋義明さんは仕事中も様々な思いを自分に語ってくれました。
「この町を出て他の町で働くのは簡単だぁ、でも俺はこの町が好きでここからもう一度立ち上がって行きて。俺はこの町をもう一回元気にしたいんだ。がんばろうはもう終わったんだ。」「がんばろうはもう終わった」この言葉は非常に深く解釈は人それぞれかもしれませんが、僕の中では強い意志と震災の影響で漁協活動が今まで通りできないという言い訳はしないんだと、既に現在進行形で動いている地元の人の復興への気持ちに触れる事のできた瞬間でもありました。
そして、漁協関係者の中で誰よりもこの仮設魚市場のオープンを心待ちにしていたのも、この義明さんでした。
そんなことも知っていたせいか、当日のオープンニングセレモニー後にこの新設の魚市場で水上げ作業や競りを行っている義明さんの表情ひとつひとつを見る度に感動し涙しそうにもなりました。もちろん、義明さんだけでなく他の漁協スタッフもこの日の為に作った「南三陸魚市場」と額に刻まれた真っ赤なおそろいの帽子をかぶり、忙しいながらも笑顔で作業している姿にも心を奪われ、今回この場に立ち会う事が出来た喜びを痛感させて頂きました。
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そしてお揃いの帽子と共に当日の市場を引き立てていたのが、入り口部分に掲げられた沢山の大漁旗。オープン前日に、祭り男である義明さんを始めその幼なじみや同級生・後輩の数名で当日を盛り上げる為に飾りつけられたこの大漁旗。その作業を幸運にも手伝わせて頂いた中で、旗が一つ一つあがる度にそれらしくなっていく市場に、前日ながらこみ上げる興奮感や期待感を味あわせていただくことも出来ました。ボランティアではありながら市場の一員として新たな船出に立ち会える喜びを実感したこともすごく嬉しい体験です。そんな前日の準備で一番最後に掲げる事になった漁協組合旗と日の丸、この2旗は津波で流されかけていた漁協の金庫に入っていた現物を洗濯して、当日の為に大切に保管していたそうです。
この2旗は、南三陸漁協組合の方々にとっては深い意味や意志がこもっていたでしょう。新たな旅立ちではありますが今までの意志を引き継いで行く、そんな風にも感じることができました。
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震災前と震災後で明らかに変わってしまったこの町、海沿いの家屋の多くは流されて、商業施設は壊滅状態、そんな中でも決してあきらめず7ヶ月間こらえて来た地元の方々には本当に頭が下がります。恨みたくても自然災害には恨めない、特に水産業で働いている人は自然の恵みが一番分かる民かもしれません。
そんな人達だからこそ、この環境下で強くたくましく新たな町を作るべく、前向きに動きだせたのでしょう。漁師さん達が口にしていた言葉「初漁で海から町を眺めた時、この町が元通りになることはないなぁと思った。でも今こうして楽しく漁に出れて、町も少しづつ片付いて来ている。これからだぁ・・・」すごく重みがあり、心に響きました。
まだまだ先が見えない長い道のりなことは承知済みでしょう。ただ自分たちの今出来る事を全力でやり抜き、この町の復興を牽引していくそんな姿を漁師さんの表情は語っていました。
普段はライバルである他漁船の漁師さん達も今では互いを今まで以上に助け合い、一早い町の復興を願っているのでしょう。
南三陸町発、漁業で町おこし!!それをテーマに自分自身は今後もこのボランティア活動をしていこうと思います。
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