荒砥 灯篭流し
更新日:2013年08月21日(水)
8月16日、南三陸町荒砥地区で灯篭流しが行われました。
毎年お盆の時期になると行われる行事で、去年に引き続き今回も南三陸町民ではない僕は参加させていただいて身の引き締まる思いでした。
夏の暑い陽射しが和らぐ夕方頃に、いつの間にか御近所の方々も静かに浜辺に集まり
しめやかに灯篭流しは行われます。
この日は珍しく曇り空で涼しい風が吹きつつ、
どこか荘厳な空気によって暑さを忘れてしまいます。
趣のあるピアノの音楽がスピーカーから流れ出し灯篭流しは始まりました。
ご年配の方から小さな子供たちも集まり皆が順番にロウソクの付いた灯篭を拝んで流していく様は哀しくもあり、でもどこか爽やかで、皆さんが温かさをもって親しい人たちへのお別れを行っていることを感じさせていただきました。
陽の沈んだ海にポッカリと現れた朧月の下、闇夜の海に消えていく灯篭は、えも言えわれぬ美しさを孕み、見えることのない魂が本当に黄泉に帰って行く尊い旅立ちなんだとしみじみ思えました。
灯篭流しの後、地元の子供たちと花火をし、ひっそりと行事は締められます。
皆、静かに家に帰り、大切な人の旅立ちの安寧を願うのでしょう。
今回、地元のご年配の方達が今までの灯篭流しの中で一番良かったと言っておられました。
風も少なく、暑さもなく、迷うことなく水平線に灯篭たちが消えていったと。
それを聞いた時、もしかしたら御霊たちがようやく安心して旅立てる時になったのかな、と少し思いました。
でも灯篭の中には何故か、陸地に戻ろうとするものもありました。皆、笑いながら優しく海に帰してましたが、まだ少し未練がある方もいらっしゃるかもしれないので、来年の灯篭流しには安心できるようにさらなる復興を祈るばかりです。
佐野